グランドプリンスホテル京都(現 大津プリンスホテル管理部長) 管理部長 三本 誠氏

企業の概要   1986年に開業し,宿泊観光客や国際会議を受け入れるなど,多目的かつ多機能な宿泊施設。
従業員数    125名
うち障害者  3名 (内訳 知的2名 身体1名)

採用のきっかけはどのようなことでしたか?
障害者雇用率が設定されたことを機に,障害者雇用に取り組み,まずは総合支援学校の生徒の実習受け入れをはじめました。製パン部門で初めに実習を受け入れたのが西室さんです。実習を通してご本人の態度・適性などを考慮し,働きぶりが即戦力になると評価できたので,採用することと致しました。杉本さんに関しても同じく実習を経て採用に至りました。

仕事を教える上で配慮が必要だったことはありましたか?
配慮としては,一度に多くの業務を依頼するとミスが増える傾向があったので,一つずつ指示をし,報告を受けてから次の指示を出すというようにしました。それ以外はほとんど他の社員と変わらないです。反対に彼女たちに障害があるということを忘れてしまうことがよくあり,彼女たちが何か負担を感じていないか案じるくらいです。
仕事を教える上で,障害がある方と健常者と特に差はないように感じています。要は「人と人」としての付き合いです。間違いがあれば注意もしますし,仕事ができた時には評価もします。
また,何度も同じ質問をしてしまうことがありましたので,メモをとるようには促しています。ただ,これは健常者も同じことがいえますね。また,障害者雇用に関して高齢者・障害者に対する接客サービス従事者研修「ハートフルアドバイザー研修」も受講しました。今後も社員がこのような研修を受けて障害のある方への理解を深めていきたいと思います。
仕事を教えるのに担当者を作られましたか?
業務を教えるのは,現場の社員が教えていきました。ただ,特に担当者を作ってはいません。現場のチーム皆で指導していきました。

採用の際に利用した機関はありますか? (職業相談室・ナカポツ・ジョブコーチ等)
さいわいなことに特に問題がないので利用はしていません。ただ,今後仕事を続ける上で必ず何らかの仕事に対する悩みが生じることでしょう。その時には,悩み事や愚痴を聞いてもらえる場所が,卒業した学校や職場以外にもあると助かりますね。職場では言えないことを受け止めてくれる場所が必要だと思います。
彼女たちが支援機関に相談しに行けば,支援機関から職場にフィードバックしていただく,そのような本人を中心にした支援の輪が作れたら良いなと思います。職場定着のためには大切なことであると感じています。

活用した制度はありますか?(ジョブコーチ・特開金・トライアルなど)
特に利用していません。

採用してから支援機関などと会議などはしましたか?
今まではありませんでしたが,今後何か課題が見つかった時には,集まれるような支援機関のチーム体制が出来ていくといいですね。

支援者に一言(どういう支援を望むか)
少々きつい言い方かもしれませんが,企業側から感じることは,学校や家庭や施設は本人を守り過ぎてはいないか?ということを感じることがあります。
今,社会はとても厳しいです。大学生の就職も厳しい今,雇用率の問題だけで企業が障害のある方を積極的に雇用するとは考えにくい状況です。障害のある方も就職しようと思われるなら,「打たれ強さ」を身につけていただけたらと思うのです。注意を受けてもくじけない強い心を育てて欲しい。仕事の厳しさを早くから感じて欲しい。そのためには学生の頃からの訓練が必要ではないでしょうか。ご家庭で練習できることもたくさんあると思います。
打たれ強さを育てることが,働き続けるためには必要ではないかと思います。

雇用をためらっている企業に一言
やはり,いきなり雇用するのは双方にとって負担が大きいと思います。まずは実習という形で双方が試してみる。例えば当社はホテルという一見華やかな世界ですが,実際に非常に力のいる仕事です。憧れて入社して「こんなはずじゃなかった」とすぐに退職しないためにも,インターンシップやチャレンジ体験等の『実習』で実際の仕事を見て体験していただき,イメージと現実とのギャップを埋めてもらうことは有効であると思います。実習を通して雇用する側も,その方が仕事に向いているか確かめることができます。

その他障害者の雇用で感じるところ
長年働き続けると,色々な悩みや不満が出てくると思います。それをいつもこちらが心配して訊ねるというのではなく,本人達にも積極的に周りの人とかかわる勇気を持ってもらい,自然に,気楽に相談できる関係ができるように,もう一歩がんばってほしいですね。コミュニケーションの力を社会の中で身に付けていってもらいたい、それが今の願いです。

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