NPO法人中小企業家コンソーシアム京都 就労継続支援事業所あむりた 施設長(サービス管理責任者兼任) 白濱 智美さん

◆「あむりた」では、どのような役割・業務を担っておられますか

「あむりた」の管理者として、食堂の運営に関わっています。主な業務内容は各業務の進捗管理や従業者の配置調整、勤怠管理、利用者支援における関係先との連絡調整、食堂の運営維持・食材原価をはじめとする数値管理等といった、マネジメント業務です。

◆「あむりた」のスタッフとして働かれている障害のある方は何人いますか。また、運営にあたり苦労されたことがあれば教えてください

現在、6名の方が働いています。スタッフ配置としては若干少ない人数ですが、お昼時等、食堂が繁忙する時間帯には各自ポジションについて、担当する仕事に全力を注ぎます。営業時間中のイレギュラー対応やトラブルが起きた時は私も現場のフォローに入ります。
運営の苦労では、過去のコロナ禍がひとつ挙げられます。「緊急事態宣言」が発出された際には大学が閉鎖してしまい、果たして事業として成り立つのか正直不安でした。コロナ禍が終わってようやく運営が安定してきたところで、今度は食材費等の高騰が発生し、各メニューの値上げ等、スタッフの雇用維持と、利益のバランスをいかに成立させることが、今抱えている悩みです。

◆現在、一般就労を希望される障害のある方はおられますか?

現在、保育所に雇用前実習に行っている方が一人おられます。きっかけは、保育所の調理補助の募集広告を当施設の担当支援員が見つけ、利用者の方にお伝えしたことでした。保育所長との面接では、調理補助には専門的な知識が求められるため、もしよければ保育士補助の仕事からやってみませんかと提案がありました。利用者の方が当初希望していた調理補助業務とは異なりますが、現在は保育士補助の職員になるため、日々頑張っています。

◆障害のある方の適正や希望に沿った就職ができるためにどのような取組などをされていますか。

「あむりた」における利用者の方への就労支援の流れは、食堂内で与えられた業務やコミュニケーションを観ることで、各人の傾向や障害特性を把握しつつ適正な支援を行っています。また、支援と並行して、企業実習や見学などを行っています。
食堂で働いているので飲食業を希望する利用者の方は多いと思われがちですが、農業に挑戦したい方もいれば、花屋さん、保険会社での事務、接客業、薬の販売にかかわるお仕事、福祉分野での支援員など飲食業以外の様々な仕事を希望している方がいます。我々支援員が、それらの企業様と話合い等をして、職場実習から求職活動に入り、トライアル雇用後に内定するという流れになっています。
「あむりた」はA型の事業所なので利用期限がないのですが、利用者のモチベーションの上下には個人差も大きく、それぞれ波があるので、事業所での仕事を通じて就労意欲が高まり、外の世界に気持ちが向き始めた頃合いを見極めて、ご本人の調子が一番乗ってきたところで就職活動を推すようにしています。そうなるまでの期間はA型事業所の利用を始めて数か月の人もいれば数年かかかる人もいますので、ご本人の状況とペースを理解し、焦らず機が熟すのを待ちます。ご本人にその気がないうちは企業就労を強く推し進めることは一旦控え、まずは支援者との関係を築きながらご本人の興味関心を共有する時間ととらえます。事業所での仕事に比重をおき、不安なく安心して打ち込めるよう環境を整えることに注力します。興味が出てきたタイミングで具体的な行動に結び付けていくためには、地域のネットワーク活動に参画したり、関係機関の方との顔の見える関係を保ちながら情報収集を継続的に行うなどして、直接的な支援に結びつけるための下地づくりを丁寧に行います。地道な取り組みですが、これがとても大事だったりします。

◆一般就労を目指す障害のある方に向けてのメッセージ

就労を目指している方や、働きたいと思っているけど様々な事情で働くことに躊躇されている方も、私たちのようなA型事業所も含めた就労支援機関につながっていただき、一般就労のお手伝いさせていただけたらと思っています。店名の由来であるアムリタには、サンスクリット語で苦悩を癒し、生命力がみなぎるという意味があります。この意味のように、いろんな障害特性を持たれている方たちと共に、生きる意味合いを一緒に見つけ「誰かの役に立てる自分でありたい」という気持ちへ結びつけていけたら嬉しいと、私は思っています。