社会福祉法人 同和園 総務部次長 佐賀隆司さん 

障害者を多数雇用されている事業所にお聞きしました

社会福祉法人 同和園 総務部次長 佐賀 隆司 氏

障害のある方の採用のきっかけはなんですか?

職員の増加に伴い,納付金をいよいよ払わなくてはならない一歩手前の段階になり採用したのがきっかけの一つです。また,施設の空きスペースに職員の福利厚生の充実の一貫として平成17年に喫茶・売店をオープンする際に,以前からお付き合いがありました京都市だいご学園の「施設からのステップの場所が欲しい」との声を受け,実習という形でお手伝いいただくことで,障害のある方と接することになりました。実習されているご利用者の働きぶりを見ていくうちに,「この人なら雇用できるのではないか」と思える方が現われてきて,同和園での障害のある方の雇用が始まったのです。

最初は障害者に対して何の知識もありませんでしたので,ハローワークの担当者や,職業センターのジョブコーチ,施設の支援員の方には本当にお世話になりました。ジョブコーチには本人との中間役を担っていただき,働く上で困ったことなどを本人に聞き取り,私達に伝えてもらえて有難かったです。指示や注意の仕方や仕事の教え方も勉強になりました。

現在は障害のある方を16人採用し,更に学校や施設からの実習も受け入れています。仕事の内容も個々の特性に合わせ,食器洗浄・清掃・洗濯場介助・機能訓練指導員・介護・ビュッフェなど多様です。仕事の定着には生活の支援は切り離せないものなので,施設から来られた方は支援員が相談にのってくれますので,安心できます。16人中12人が施設から就労された方です。困った時には家族や施設と連携して解決します。

視覚障害のある方を採用された経緯を教えて下さい。

敷地内の別の場所でデイサービスを増床し始めることになり,ご利用者の方に喜んでいただけるようなプログラムを取り入れたいと考えました。そこで機能訓練指導員を採用し,マッサージを通じて機能訓練をしてもらおうということになり,それなら視覚障害のある方を雇用したいと考えました。京都障害者就業・生活支援センターに相談し,林さんを紹介していただきました。林さんのマッサージはデイサービスのご利用者に評判で,待機が出るほどです。

今後,市内のデイサービスで機能訓練指導員としての視覚障害者の雇用が増えていけばいいですね。視覚障害のある方への配慮としては,通勤路を覚えるまでの支援や契約などの書類の確認時に,読み上げて伝え,話し合うことが必要となりますが,それほど負担に感じません。

精神障害のある方も雇用されていますが,ご感想をお聞かせください。

一般の求人で応募してこられました。毎日安定して通勤できるまでは,半年くらいはかかりましたが,今はすっかり慣れて職場の戦力となっています。精神障害のある方は介護の仕事に向いているように感じています。受け入れ側が勤務時間や環境への配慮ができれば,ヘルパーの資格を取られたら老人施設での雇用は進むのではないでしょうか。

これから障害のある方を雇用しようか迷っておられる事業主へのメッセージをお願いします。

障害のある方を「障害者」として見ないで1人の人間として見てほしいです。最初からいきなり雇用しなくても,実習して様子を見ることもできます。「百聞は一見にしかず」です。実際に働く姿を見ながら仕事の内容を考えたりしながら採用を検討されてはいかがでしょうか。

私の施設もはじめは自信のない中スタートをきりました。支援機関と連携すれば,障害のある方の雇用は可能です。まず一歩を踏み出してみてください。