中信興産株式会社  総務部 課長 安達 修司さん 指導担当 竹内 温子さん

企業の概要  不動産の保守・管理と清掃業務
貸ガレージ業務 等
従業員数  50名 (パートタイマー含む)
うち障害者雇用  1名
任せている業務   ビル共用部分の清掃

採用のきっかけを教えてください
当社の社員が総合支援学校のメンテナンスの非常勤講師として学校に指導に行くようになったことからご縁ができました。また,所属団体の(社)ビルメンテナンス協会としても,ちょうどCSRの観点から障がいのある方の雇用を促進しようと話し合っていた矢先でした。その後学校からの依頼で,実習生を会社で受け入れるようになり,何度か来ていただくうちにOさんを採用することになりました。

教えるのに担当者を作りましたか?
同じ社員が教えた方がいいと思い,竹内さんにお願いしました。彼女は近くの現場で働いていること,面倒見の良い方であることから,指導をお願いしました。

仕事を教える上で配慮が必要だったことはありますか?
実習を初めて受け入れた時は,どのように接していいのか戸惑いがありました。仕事については,最初から厳しく指導しましたが,反応がすぐに返ってこないため,理解してくれたかどうか,傷ついていないか等心配することがありましたが,一緒に働くうちに,特別な気遣いなしに接していけばいいということを感じ,それからは何も気負いなく一人の先輩として接しています。
また,一人でする仕事ですので,確認のために一日の終わりに『週間仕事設計管理票に今日した業務や感想・質問等を書いてもらい,上司が確認しコメントしています。
口頭で伝えることは難しくても,文章でなら質問できること
はありますし,どのようなことを考えているのかを知るツールともなります。反対にこちらからの評価や,気をつけて欲しいことなども書き,意見交換の場になっていると感じます。

仕事を覚えるまでは何度も繰り返し指導しないといけない
こともありますが,彼女は粘り強く,頑張り屋でしたので,
しっかりと覚えてくれて,今では安心して仕事を任せていま
す。ただ,複数の指示を同時にすると混乱されるので,一つ一つ指示を出すなど小さな配慮は今でも継続しています。
また休憩は,事務職の女性社員が同じ部屋で一緒にとってくれています。仕事は1人ですることが多いのですが,休憩時に雑談をすることで孤独感がなくなっているようです。また,女性社員も先輩として女性として言葉づかいなどのマナーを教える役割を意識して,彼女に接してくれているようです。
採用の際に利用した機関や制度はありましたか?
特にありません。実習の段階で,彼女の仕事ぶりや人柄はよく把握できましたので,不安はありませんでした。特に問題もないので,実習終了時の反省会以外ケース会議等も行っておりません。
採用時にはご家族ともお会いしました。彼女が社会に出られることを大変喜んでおられ,応援してくれています。
支援者に一言アドバイスをお願いします。
やはり,実際に求人が多くある業種の仕事の訓練をされることは,強みになると思います。
Oさんの場合も,学校でメンテナンスを学んでおられたことが,実習に活き,雇用につながったように
思います。求められる業種やその方の適性を見極めて,訓練内容を選んでいくことが大切だと思います。

雇用をためらっている企業に一言どうぞ。また,障がい者雇用で感じるところはありますか?

雇用をご検討中の企業の人事担当者は,障がいのある方がどれくらい働けるのか,どのような配慮が
必要なのか,全く解らないことが一番不安なのだと思います。我々も最初は担当者に大きな負担をかけてしまうのでは?との戸惑いがありました。そんな頃,総合支援学校の公開授業の見学会に参加したところ,一生懸命作業に取り組んでおられる生徒達の作業能力の高さに驚きました。また,まっすぐな眼差しや,素直な面を拝見し,感動しました。これなら我が社でも雇用出来ると,気持ちが大きく変わったのです。見学に行って本当に良かったです。

障がい者の雇用をお考えの企業の方には,学校や施設への見学をおすすめします。実際に働いておられる姿を見られたら,障がい者雇用のイメージがつかめ,最初の一歩が踏み出せるのではないかと思います。