有限会社グラン・ブルー 代表取締役 石井雄一郎氏

企業の概要有限会社グラン・ブルー石井雄一郎氏
熱帯魚店・菓子工房・キッズカフェ

従業員数  正社員9名
そのうち障害者 4名 (内訳 知的1・精神3)

採用のきっかけ
中小企業家同友会に加入したことにより,障害者雇用について知りました。また,就労移行支援事業所の所長と出会ったことで,更に障害者雇用に取り組むきっかけとなりました。
中小企業家同友会で障害者雇用について学ぶうちに,私の会社でもいつかは・・・と将来的には考えていましたが,急いでいませんでした。また当時は障害の種別も知りませんでした。就労移行支援事業所の所長から「今うちの事業所にはこんな方がおられます。十分に働けるけれど,実習の場所がないのです。」と頼まれ,それなら一度私の会社で実習を始めてみようかということになりました。最初は熱帯魚店で受入れ,精神障害のグループ就労で支援員と一緒に菓子工房で働いていただき,その後社会適応訓練事業を活用し,カフェでの訓練も始めました。

仕事を教える上で配慮が必要だったことはありましたか?
特別な配慮はしていないです。私自身は障害というよりは,1人1人の個性をしっかり見ているつもりです。してもらっている仕事がその人に合っているかな?職場環境は大丈夫かな?などと考える程度で雇用は意外と簡単でした。例えば人が苦手な方については,お客さんに目につかない場所で働いてもらったり,「電話には出なくてもいいよ」という声かけ等の配慮はしています。

精神障害のある方の雇用について不安はありましか?
最初は精神障害というと,事件などで聞く程度でしたので不安でしたが,実際に実習に来てもらったら,就労を目指している人達はとても前向きな人たちばかりで,お会いした時点で不安はすぐに消えました。
実習の当初は支援員がつきっきりで支援してくれました。少しずつ支援員が離れて,社員の担当になったので,それもよかったと思います。いきなり雇用だったら,どうしたらいいのかわからなかったでしょう。月に一度支援員の方とも振り返り会議をしましたが,みな優秀な方でしたので業務についての指導や相談はありませんでした。強いていえば,勤務時間の延長でしょうか。勤務時間の延長についての調整は,支援員の方や医療機関の意見を参考にして伸ばしていきました。

仕事を教えるのに担当者を作りましたか?
当社は健常の方を教える時も,私または社員に一緒に同行してもらい,仕事を見ながら覚えていってもらうので,それと同じようにしました。障害があるからといって特に手がかかるように感じたことはなかったです。
社員も初めは精神障害がどんな病気なのかが解らないため不安が強かったのですが、1〜2日たったら「特に変わりなく普通ですね」と言い,安心していました。仕事は積極的に自分から探してしてくれるので,助かります。1時間から始めて今は1週間に4日,1日5時間働いていただいています。年末は忙しくて,かなり残業をしていただきました。その頃は元気でしたが,少し経って疲れが出てきた様子です。彼が「一緒に働きたい」という思いを尊重してあげたいと思いますし,どこまで働けるか試してみる,そこで疲れが出て,ここまで働くとしんどくなる・・・という経験が大切かなとも思います。彼が皆と同じように働きたい,役立っていると感じたいという思いをこちらも感じるので,応援したくなりますね。

採用の際に利用した機関はありますか?
精神障害のある方の時には支援員が同行していたので,制度は利用していません。
知的障害のある方の時には,ジョブコーチ支援を使いました。仕事をどういう風に指導したらいいか,とまどいがありました。精神の方とは指導方法が違いました。初めは1週間に1回来ていただき,少しずつ仕事を覚えていくにつれ,フェイドアウト,今は卒業です。

採用してから 会議などはしましたか?
精神の方は月に1回振り返りの会議をしていました。知的の方は振り返り会議は特にしてきませんでした。支援学校の先生が就職後1ケ月・3ケ月頃に様子を見にこられる程度で大丈夫でした。

支援者にどういう支援を望まれますか?
殆どは助かったことばかりです。支援事業所については,支援員が同行し,一緒に働き,企業のことを知ろうとしてくれる姿勢が企業側にとっては心強く,助かりました。

私は中小企業家同友会のつながりがあるため,自然に支援機関とつながりましたが,一般の企業はどこにどんな支援機関があるのか解らないことが多いと思います。障害者雇用の際には,たくさんの制度や支援機関があるので混乱してしまうと思います。それをコーディネイトしてくれる窓口があれば,企業側は助かるだろうと思うのです。現在は,色々な所にこちらから行かないといけないし,沢山の窓口があります。可能であれば,企業との窓口の一元化を希望します。ここに相談したら,制度も助成金も一気に相談できるという場所があると大変有り難いですね。

雇用をためらっている企業に一言お願いいたします
よく「うちはこんな仕事だから,障害者雇用は無理だ」と言われる企業が多いのですが,今の仕事を分解し,業務を細かく見たら障害のある方ができる仕事はあると思いますし,お金がたくさんかかるわけでもありません。社風もよくなります。障害のある方を雇用して,会社が変わったなと思うことは,社員同士の気遣い・思いやりがすごく強くなったことです。社員皆が「自分がこうしたらあの人はどうなるかな?」と常に周りの人の動きを考えながら働くことが増えてきたと感じます。

その他には,整理整頓がしっかりできるようになりました。日常使う用具を置く場所を決め,徹底できるようにしておかないと,障害のある社員は大変困りますが,そのことが社員みんなにとっても働きやすい職場環境につながったと思います。

その他障害者の雇用で感じるところ
今私が一番思うのは,地域と一緒に歩んでいく会社作りが重要だと考えています。
つまり地域での雇用促進や仕事作りです。地域に参画したいのに,できない人たちをできるだけなくしていきたいと考えています。特に障害者雇用に対しては考えていきたいです。また,障害児に対してどうアクションを起こしいくかも課題です。障害児の親御さんがカフェに来られて,実際にカフェで働く障害のある方を見て,『安心した・少し気持ちが楽になった,希望が見える』と言っていただけることがあり,大変嬉しいです。
そういう場所を町中にたくさん作っていきたいです。障害者・健常者関係なく,一緒に働ける街づくりを皆と共に目指していけたらと願っています。子供たちが成人した時にどういう地域で,どういう生活を夢見られるのかという事が,私の事業のベースになっていくと思います。