(株)かんぽ生命保険 京都サービスセンター 総務部会計課課長 木下泰夫氏

業種   生命保険業
従業員数  1567名  そのうち障がい者  9名
内訳 知的9名(精神重複1名)
(株)かんぽ生命保険全体での雇用率1.91%
(H22年6月1日現在)

採用のきっかけは何ですか?

障がいのある方がその能力を十分発揮する職業に就き,またその機会を与えることは,社会の義務・責任であり,その雇用促進は企業に課せられた社会的責任であると考えています。
郵政グループとして障がい者雇用及び自立支援を目指し,平成19年に日本郵政公社 京都簡易保険事務センターにて支援学校の卒業生を5名採用したことが,我が社のスタートです。

仕事を教える上で配慮が必要だったことはありますか?
最初は清掃部門・データ入力部門というように,仕事を分担していましたが,清掃部門のチャレンジドから『データ入力もしてみたい』と申し出があり,皆がどの作業もできるように方針を変えました。色々な作業をすることで,その人の思わぬ能力が見つかることもありますし,チャレンジド間のチームワークも良くなりました。

仕事を教えるのに担当者を作りましたか?
シニアコーチ(統括リーダー1名)・コーチ(2名)・社員2名でチャレンジドの指導にあたっています。一人一人に合う指導の仕方をしています。

採用の際に利用した機関はありますか?  
職業相談室・就業生活支援センター・職業センター・支援学校などと連携しながら採用をすすめていきました。

活用した制度はありますか? 
ジョブコーチ支援を利用しました。

採用してから 会議などはしましたか?
支援学校の先生が訪問された時に少し話をする程度で,決まった会議はしていません。ただ,チャレンジドに課題ができた時は,ご家庭を始め,色々な支援機関に相談し,協力していただいています。

福祉事業所にはどういう支援を望みますか?
会社で働くには,働くんだという気持ち(気力),目の前の仕事以外に気持を向けない(集中力),今やっている仕事をやり遂げる(持続力)が必要と考えています。仕事への責任感を持ち,ストレスとうまく付き合うことができれば,どの事業所のどの作業であっても,皆さんにとって長く続けられる職場になると思います。その部分を強化する訓練を福祉事業所で行われるといいと思います。

雇用をためらっている企業に一言お願いします
初めての障がい者雇用は,大変勇気が要ると思います。まずは実習を受け入れてみるなど,ゆるやかな段階を踏んで雇用につなげていけば,双方の不安も少なくて済みますし,会社に合った人材を探していくことも可能かと思います。
また,「障がいのある方」と一線をひくのではなく,同じ仲間として一緒の仕事をしていく姿勢が必要であると実感しています。

その他障がいのある方の雇用で感じるところはどんなところですか
採用されたらまず2年は,同じ会社で頑張ってほしいと思っています。戦力となるためには,ある程度の期間が必要です。
採用されたからには,『チャレンジドがいる職場』ではなく,『チャレンジドが働く職場』つまり,「戦力」になって欲しいのです。
当センターでは「楽しく,明るく働いてもらう」ことを目指しています。そうすることで,自然に人間関係の形成ができ,仲間と共に働くことによって,社会人としてのマナーや仕事のレベルアップが付随してくるのではないかと考えています。

今後について
現在(株)かんぽ生命保険として障がい者雇用に取り組んでおり,当センターでは平成22年4月に新たに2名を雇用し,9名となりました。
当センターに勤務しているチャレンジドの皆さんが,色々な仕事にチャレンジし,さらにレベルアップしてほしいと望んでいます。
達成感を感じながら働き続けることが出来るよう,新たな仕事の創出が課題となります。